骨髄由来幹細胞を用いた心疾患の治療

今回は「骨髄由来幹細胞を用いた心疾患の治療」について紹介させていただきます。

この治療法は、患者本人の骨髄から製造した「骨髄由来(間葉系)幹細胞」を冠動脈や心筋に注射により投与することにより、心筋梗塞、拡張型心筋症等の心疾患の症状改善を図る治療法です。

培養した幹細胞を用いるため、再生医療等技術としての区分は第二種となります。

(1)骨髄由来幹細胞とは?

骨髄由来幹細胞とは、骨髄に含まれる幹細胞(自己増殖能と多分化能を併せ持つ細胞)です。

人間の成体の色々なところに様々な種類の幹細胞が存在しており、骨髄には血球等の元となる幹細胞である造血幹細胞と、骨や軟骨、神経など様々な種類の組織、細胞へと分化する能力を持つ間葉系幹細胞という2種類の幹細胞が含まれています。

この治療法で用いるのは間葉系幹細胞の方で、前回までのコラムで紹介した脂肪由来幹細胞と類似した性質を持つ細胞です。

骨髄由来間葉系幹細胞は、骨髄から細胞を採取する必要があり患者への負担が大きく、一度に取れる量が少ないという点では脂肪由来間葉系幹細胞に劣りますが、脂肪由来間葉系幹細胞よりも発見が古く、多くの研究実績が蓄積されていることから再生医療の研究、治療にも用いられています。

骨髄由来間葉系幹細胞には前述のとおり様々な種類の細胞に分化する能力があることに加えて、様々な成長因子や抗炎症因子を分泌する能力があることから、骨髄由来間葉系幹細胞の投与により組織の再生や炎症の抑制効果が得られます。

(2)心疾患とは?

心疾患(心臓病)とは、心臓に起こる病気の総称で、心臓に血液を送る血管(冠動脈)の血流が悪くなることにより心臓に十分な酸素や栄養素が共有されなくなってしまうことにより発症する虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞等)が大部分を占めています。

その他にも、心不全や拡張型心筋症等も心疾患に含まれます。

(3)骨髄由来幹細胞を用いた心疾患の治療

この治療法は、前述のとおり患者本人の骨髄から製造した「骨髄由来(間葉系)幹細胞」を冠動脈や心筋に注射により投与することにより、心筋梗塞、拡張型心筋症等の心疾患の症状改善を図る治療法です。

骨髄由来幹細胞には、心筋へと分化する能力とともに、血管の形成、新生を促進する因子を分泌する能力があり、骨髄由来幹細胞を心疾患による病変部に投与することにより、血管形成の促進や損傷した心筋の修復に働き、心疾患の症状改善に働くことが期待されます。

国内外における臨床研究により、心筋梗塞、拡張型心筋症の患者に対して骨髄由来幹細胞を投与することで血管の増加や心機能の改善することが報告されており、心疾患に対する治療効果が示されています。


「骨髄由来幹細胞を用いた心疾患の治療」は、2018年7月現在、日本国内では研究として1件、治療として1件の計2件の医療機関で実施されています。

まだ実施している医療機関は少ないですが、当事務所では「骨髄由来幹細胞を用いた心疾患の治療」の提供計画を作成し、受理された実績があります。

この治療法の提供を検討している方は、お気軽にご相談ください。

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