再生医療等安全性確保法違反による緊急命令

またまた非常に久しぶりになってしまいましたが、本稿では再生医療等安全性確保法による緊急命令の発出についてお話したいと思います。

先日、東京都で自由診療としてがん免疫療法の提供を行っていたクリニックが厚生労働省による緊急命令(再生医療等の提供中止及び細胞培養加工の中止)を受けたことはメディアでも取り上げられ大きな話題となっていますので、再生医療等に携わる方であればほとんどの方がご存知ではないかと思います。

今回の件では、「再生医療等提供計画の提出」、「特定細胞加工物製造届出」という二つの手続きを行った後に、クリニックを(同じビル内で)移転したことが原因で法律違反の状況が発生してしまいました。
クリニックを移転したために、細胞培養加工施設がクリニックの範囲外になってしまったのにも関わらず、変更の手続き(この場合は新規に「特定細胞加工物製造許可」を取得する必要があります)を行わなかったために、「再生医療等提供計画の無届出変更」、「特定細胞加工物の無許可製造」という法律違反を犯してしまったということになります。

「特定細胞加工物製造届出」はそれほど難しい手続きではないですし、「再生医療等提供計画の提出」に関しても比較的簡単である第三種に関しては自力で手続きを行う医療機関が増えているように感じてます。しかしながら、手続きは自力で行うことができたものの、手続きを行った後に遵守しなければならない事項についてまで正確に理解していない方も多いのではないでしょうか。
実際に今回の件では、クリニックを移転したことにより変更手続きが必要となることを理解していなかったために、非常に重い処分である「緊急命令」を受けるまでに至ってしまっています。

当事務所では、再生医療等に関する行政手続きのサポートを専門としておりますが、手続きを完了させれば終わりではなく、手続きを完了した後も法令を遵守した運営ができるようにサポートしていくことが重要であるということを改めて感じた一件となりました。

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