本稿では、再生医療等提供計画の添付文書である「再生医療等提供計画に記載された再生医療等と同種又は類似の再生医療等に関する国内外の実施状況を記載した書類」について説明させていただきます。
これには、同種または類似の再生医療等に関する国内外の研究論文などを添付します。研究論文以外では、学会発表の要旨などを添付する場合もあります。
なお、「同種」、「類似」については特に判断基準などは示されていませんので、どこまでが「同種」で、どこまでが「類似」と言えるのかは明らかではありません。当事務所では、用いている細胞が性質の類似した別の細胞であったり、同じ細胞を用いていても投与方法や加工方法が異なる場合は「類似」の再生医療等に該当する、というように判断して作成していますが、このような解釈が正しいとも言えないかもしれません。
「再生医療等提供計画に記載された再生医療等と同種又は類似の再生医療等に関する国内外の実施状況を記載した書類」についての注意点は2点あります。
1点目は、ここに添付するのはヒトを対象とした実施状況に関する書類であることが求められます。
書類の名前には「ヒトを対象とした」とは書かれていないのですが、そもそも再生医療等安全性確保法において「再生医療等」はヒトを対象とするものに限定して定義されていますので、「同種又は類似の再生医療等」とはヒトを対象としたものでなければなりません。
ここに実験動物を対象とした非臨床研究に関する論文などを添付しようとしているケースも多々見かけますが、ヒトを対象としていない文献については「再生医療等に用いる細胞に関連する研究を記載した書類」に添付してください。
2点目は、ここには研究論文などの文献だけでなく、提供しようとする再生医療等との関連性を含めた概要も必要となります。
「提供しようとする再生医療等との関連性」については、文献で用いられている手法との比較や、文献に記載されている研究結果から提供しようとする再生医療等の安全性や効果について考察した内容を記載していただけばいいかと思います。
この「再生医療等提供計画に記載された再生医療等と同種又は類似の再生医療等に関する国内外の実施状況を記載した書類」は、提供しようとする再生医療等の安全性、妥当性に科学的な根拠があることを示すための重要な資料となります。
ここに添付できる文献がない(=国内外での実施例についての報告がない)ようであれば、治療目的での再生医療等提供計画を通すことは難しいかもしれません。