疾病等の報告について

再生医療等安全性確保法が施行されて8か月が過ぎ、既に再生医療等提供計画の提出を行った医療機関も少しずつ増えてきているようです。

再生医療等提供計画を提出した後に必要な手続きの一つとして、疾病等の報告があります。

再生医療等安全性確保法

第十七条 再生医療等提供機関の管理者は、再生医療等提供計画に記載された再生医療等の提供に起因するものと疑われる疾病、障害若しくは死亡又は感染症の発生を知ったときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を再生医療等提供計画に記載された認定再生医療等委員会に報告しなければならない。

第十八条 再生医療等提供機関の管理者は、再生医療等提供計画に記載された再生医療等の提供に起因するものと疑われる疾病、障害若しくは死亡又は感染症の発生に関する事項で厚生労働省令で定めるものを知ったときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を厚生労働大臣に報告しなければならない。

疾病等の報告は、死亡や死亡につながるおそれのある症例は7日以内、重篤な症例は15日以内に報告が必要な他、重篤でない症例については2か月に1回まとめて報告を行うこととされています。

この、重篤でない症例として報告が必要なのはどのような症例であるかについて厚生局に照会を行い、以下のような回答が得られました。

  • 発熱や発疹、腫れなどの軽微な症例(治療を必要としないものを含む
  • 意図しない事象の発生

PRP療法を例として説明すると、PRP療法を行った場合、焼けつくような不快感や紅斑、軽い腫れ、内出血などが高い頻度で発生することが臨床試験などで報告されていますし、通常、PRP療法を受ける患者にはあらかじめこれらの症状が発生する可能性があることが伝えた上で施術を実施している診療所がほとんどであると思われます。
このような軽微な副作用は治療を行わなくても数日で解消されるものですが、これらの症状も疾病等の報告の対象となります。
また、あらかじめこれらの症状が発生する可能性が高いことを説明し、了承を得ている場合でも報告義務は免除されないとのことです。

また、PRP療法の手法によってはしこりができることがあるとの報告もありますが、しこりの発生も意図しない事象ですので疾病等の報告の対象となります。

つまり、PRP療法を行う場合、非常に高い頻度で報告が必要な有害事象が発生するということです。
これは、実質的に2か月に1回かかさずに再生医療等委員会及び厚生局に疾病等の報告が必要となる、ということを意味します。
(おそらく、PRP療法意外の再生医療等でも同様であると思われます。)

なお、軽微な症状だからといって疾病等の報告を怠っていると、定期報告の際に行政指導の対象となる可能性があります。

実際に報告が必要となる症状の基準(発熱であれば何℃以上か、など)や、報告の方法は未だ協議中であるとのことでしたが、疾病等の報告は再生医療等を実施する医療機関にとって大きな負担となる可能性もあると思われます。

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