医療機関による特定細胞加工物製造の受託の可否

今回は、弊所にも時々ご相談をいただく「特定細胞加工物製造届で細胞培養加工を受託できるのか」について解説します。

再生医療等に用いる特定細胞加工物を製造するためには手続きが必要となり、医療機関や再生医療等製品製造業の許可施設の内部で製造する場合は「届出」、それ以外の場合は「許可申請」が必要となります。
これに関して、「許可施設でないと外部の医療機関から細胞培養加工を受託できないのか」というご質問いただくことがあります。
この質問に対する回答については、「再生医療等安全性確保法」と「医療法」それぞれの側面から検討する必要があると思われます。

再生医療等安全性確保法関係

勘違いされやすい部分ではありますが、届出施設(医療機関内)と許可施設(医療機関外)では、特定細胞加工物の製造を行うために必要な手続きが異なる以外の違いはなく、可能となる業務の範囲や運営に関する基準、遵守事項等についてはどちらも同じです。
そのため、再生医療等安全性確保法の規定上は、届出施設であっても外部からの細胞培養加工を受託することは禁止されていません

医療法関係

一方で、特定細胞加工物製造届を提出し、特定細胞加工物の製造を行う医療機関が医療法人によって開設されている場合は、医療法による医療法人の運営に関する規定に留意する必要があると考えられます。
医療法人が行うことができる業務は「本来業務」、「附帯業務」、「附随業務」に限られており、それ以外の「収益業務」は原則として行うことができないとされています(社会医療法人を除く)。

そのため、特定細胞加工物の製造を受託することが「本来業務」、「附帯業務」、「附随業務」のいずれがに該当するかどうかが問題となります。
これに関しては、管轄の都道府県によって事例ごとに判断されることになるため一概には言えませんが、外部の医療機関から有償で特定細胞加工物の製造を受託することは3つの業務のいずれにも該当せず、「収益業務」として医療法人が行うことができない業務に該当する場合が多いと考えられます。

なお、医療法人ではない個人開設の診療所の場合は、このような業務範囲の制限は定められていないため、外部の医療機関からの細胞培養加工の受託も認められる可能性はあります。

まとめ

・「届出=内部のみ、許可=外部からの受託可」ではなく、再生医療等安全性確保法上は届出施設でも外部からの細胞培養加工の受託は禁止されていない
・医療法上は、医療法人による外部からの細胞培養加工の受託は認められない可能性が高く、事例ごとに確認が必要

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