前回のコラムでも書いたように、7月末現在で24件の再生医療等提供計画が提出されています。
ところで、情報公開法という法律があるのをご存知でしょうか?
情報公開法により、行政が保有する文書の開示を誰でも請求できる制度が定められていますが、この対象には、申請や届出により行政に提出された文書も含まれます。
つまり、既に提出された再生医療等提供計画についても、誰がどこに提出したかさえわかっていれば開示を請求することが可能であるということです。
そこで、弊事務所では、24件提出されている内の1件の計画について、情報公開法に基づく開示請求を行い、先週末に開示された文書を入手することができました。
あまり詳しいことは書けませんが(そもそも不開示となった情報が多すぎてあまり詳しいことはわからなかったのですが)、気になったのは明らかに法令の規定に従っていない箇所が散見されたことです。
例えば、法令上記載しなければならないことが記載されていなかったり、逆に法令上存在しない手続きが定められているなど、作成した方は法令を完全には理解できていないであろうと推測されます。
特に問題なのは、このような法令上不備がある計画が認定再生医療等委員会に承認されてしまっていることではないかと思います。
認定再生医療等委員会は、審査を依頼された計画を再生医療等提供基準に照らして適切であるかを審査することとされています。
再生医療等安全性確保法第26条
一 第四条第二項(第五条第二項において準用する場合を含む。)の規定により再生医療等を提供しようとする病院若しくは診療所又は再生医療等提供機関の管理者から再生医療等提供計画について意見を求められた場合において、当該再生医療等提供計画について再生医療等提供基準に照らして審査を行い、当該管理者に対し、再生医療等の提供の適否及び提供に当たって留意すべき事項について意見を述べること。
つまり、再生医療等提供基準に適合していないのにも関わらず、当該再生医療等を提供することが適切であると判断することできないということです。
それにも関わらず、このように再生医療等提供基準に適合していない計画が承認されているということは、その認定再生医療等委員会が十分な審査能力を有していないと考えざるを得ません。
現在のところ、「再生医療等安全性確保法」の運用についての一番の問題は、認定再生医療等委員会の審査能力の確保だと思います。
以前のコラムでも書いたように、ただでさえ認定再生医療等委員会の数自体まだ少なく、他の医療機関からの審査を受けてつけていない委員会も存在することからどこに審査を依頼するかを選定するのが困難であるのに、今回のケースのように十分な審査能力を有していない委員会が存在する(しかも、審査を受けてみないとわからない)のであればより一層選定が難しくなってしまいます。
この問題を何とかしないと、「再生医療等安全性確保法」は効果的に機能しないのではないかと思っています。