第1種再生医療等提供計画の取り下げ

複数のメディアで、民間のクリニックが提出した再生医療等提供計画が取り下げとなったニュースが報道されています。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG28H1F_Y6A520C1CR0000/

再生医療等提供計画はリスクに応じて3種類に分類されており、今回取り下げとなったのは最もリスクが高いとされる第一種の再生医療等提供計画です。

今回の事例では、他人から採取した幹細胞を投与するため、第1種に該当します。

第1種再生医療等提供計画については、第2種、第3種とは異なり、厚生労働大臣に提出した後、90日間(原則)の間は厚生労働大臣が計画の変更などを命じることができるものとされており、それまでの間は計画が受理されても再生医療等を提供することができないことになっています。

(なお、今回の場合は、再生医療等安全性確保法が施行される前から治療が実施されていたことから経過措置の対象となり、90日間経過しなくても治療を提供することが可能でした。)

実務上は、厚生労働省へと提出された第1種再生医療等提供計画は、厚生労働省内に設置された専門部会である再生医療等評価部会により基準に適合しているか審査され、審査の結果に基づいて厚生労働大臣により命令が発出されることになっています。

つまり、第1種に関しては、特定認定再生医療等委員会による審査だけでなく、厚生労働省の再生医療等評価部会による審査もクリアしなければならないということになっています。

今回の事例では、特定認定再生医療等委員会による審査は通ったものの、再生医療等評価部会による審査に通らず、取り下げを求められたということのようです。

再生医療等評価部会では国内外での実施例が無く、リスクと有効性を評価するためのデータが不十分であると評価されています。

これは、特定認定再生医療等委員会による審査では、国内外での実施例が無いのにも関わらず治療の実施を承認したということですので、委員会による審査が適正に行われていたのか疑わしいように思います。

委員会としては、国内外での実施例が無いのであれば、(今回、再生医療等評価部会がしたように)治療としての実施ではなく、研究として実施するように意見すべきだったのではないでしょうか。

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