脂肪由来幹細胞を用いた顔面再建治療

今回は「脂肪由来幹細胞を用いた顔面再建治療」について紹介させていただきます。

この治療法は、患者本人の皮下脂肪から製造した「脂肪由来幹細胞」を顔面の皮下に注射により投与することにより、変形してしまった顔面の再建を図る治療法です。

この治療法は、脂肪由来幹細胞を培養するか否かによって再生医療等技術としての区分が異なり、培養する場合は第二種、培養しない場合は第三種に該当します。

(1)脂肪由来幹細胞とは?


脂肪由来幹細胞とは、名前のとおり脂肪から採取される幹細胞(自己増殖能と多分化能を併せ持つ細胞)です。

人間の成体の色々なところに様々な種類の幹細胞が存在しており、脂肪由来幹細胞はその中でも「間葉系幹細胞」という種類の幹細胞に分類され、脂肪だけでなく骨や軟骨、神経など様々な種類の組織、細胞へと分化する能力を有しています。

同じく間葉系幹細胞に分類される細胞としては骨髄由来幹細胞があり、従来は再生医療への応用のための研究の中心は骨髄由来幹細胞でしたが、近年では脂肪由来幹細胞が注目されています。
その理由としては、骨髄由来幹細胞は骨髄から細胞を採取する必要があり患者への負担が大きく、一度に取れる量が少ないのに対して、脂肪由来幹細胞は皮下脂肪から採取できるため患者への負担が少なく、一度に取れる量が多いことが挙げられます。

脂肪由来幹細胞には前述のとおり様々な種類の細胞に分化する能力があることに加えて、様々な成長因子や抗炎症因子を分泌する能力があることから、脂肪由来幹細胞の投与により組織の再生や炎症の抑制効果が得られます。

また、脂肪由来幹細胞は血管形成を促進する因子も分泌することが知られています。

(2)顔面変性疾患とは?

顔面変性疾患とは、顔面の真皮や皮下脂肪が委縮することにより顔面の一部が凹んで変形してしまう症状で、ロンバーグ病(進行性顔面片側萎縮症)や膠原病が原因となって発症します。

顔面変性疾患の従来の治療法として、患者本人から採取した脂肪組織を移植するという方法が一般的ですが、移植した脂肪はうまく定着せず、治療の効果が長続きしないことが問題となっていました。

(3)脂肪由来幹細胞を用いた顔面再建治療

前述のような、脂肪移植の定着率の低さを改善するために開発されたのが「脂肪由来幹細胞を用いた顔面再建治療」です。

この治療法は、脂肪から単離した脂肪由来幹細胞を脂肪組織と混合して皮下に投与することにより、脂肪由来幹細胞が持つ血管形成を促進する因子を分泌する能力によって血管形成を促進し、移植した脂肪組織の定着率を高める効果があります。

脂肪組織に脂肪由来幹細胞を混合して移植するという手法は、乳がんのために摘出した乳房の再建や豊胸手術等にも用いられており、CAL(Cell Assisted Lipotransfer)やSRF(Stemcell rich fat)と呼ばれています。

前述のとおり、脂肪から単離した脂肪由来幹細胞を培養せずに用いる場合は第三種再生医療等技術に該当しますが、より細胞数を増やすために培養を行う場合は第二種再生医療等技術に該当します。


「脂肪由来幹細胞を用いた顔面再建治療」は2018年6月時点では第二種、第三種併せて10件に満たないぐらいの医療機関でしか提供提供されていませんが、当事務所では計画の作成実績があります。

この治療法の提供を検討している方は、お気軽にご相談ください。

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