医療機関にて再生医療等を実施するためには「再生医療等提供計画」の提出が必要です。
この「再生医療等提供計画」は、行政書士などの専門家に作成を依頼しなくても、ご自分で作成することももちろん可能なのですが、「自分で作成したが通らない」という話をよく聞きます。
再生医療等提供計画が通らないケースとして、
- 認定再生医療等委員会の審査に通らない。
- 審査は通ったが、厚生局に受理されない。
という二つのケースが考えられます。
本コラムでは、「①認定再生医療等委員会の審査に通らない」場合について説明させていただきます。
再生医療等提供計画は、最終的な提出先は管轄の地方厚生局ですが、その前に「認定再生医療等委員会」による審査を受けて承認を受ける必要があります。
(厳密には、再生医療等の提供が適当であるという意見をもらう必要があります。)
この審査に通るか通らないかを左右する最も重要なポイントは、「再生医療等提供基準」に適合しているか否かです。
実際には審査の際の基準が統一されておらず、委員会によって審査のやり方に違いがあるのが現状ですが、「再生医療等提供基準」に適合していない再生医療等の提供は行うことができないこととされていますので、「再生医療等提供基準」に適合していることが審査を通過する最低条件と言えます。
「再生医療等提供基準」の中でも、特に審査の際に問題となる可能性が高いのは以下の2点です。
- 再生医療等を実施する医師、実施責任者(第1種、第2種の場合)の能力、臨床経験
- 提供しようとする再生医療等が安全性・妥当性を有しているかについての科学的根拠(エビデンス)
①再生医療等を実施する医師・歯科医師、実施責任者(第1種、第2種の場合)の能力、臨床経験
「再生医療等提供基準」では、再生医療等を実施する医師・歯科医師の基準として、
「再生医療等を行う医師又は歯科医師は、当該再生医療等を行うために必要な専門的知識及び十分な臨床経験を有する者でなければならない。」
実施責任者(第1種、第2種の場合)の基準として、
「実施責任者は、医師又は歯科医師であって、実施する第一種再生医療等又は第二種再生医療等の対象となる疾患及び当該疾患に関連する分野について、十分な科学的知見並びに医療に関する経験及び知識を有していなければならない。」
と定めています。
一番確実なのは、提供しようとする再生医療等について、相当数の臨床経験(実際に提供した経験)を有していることですが、再生医療等安全性確保法により、計画を提出しなければ再生医療等を提供することができないため、このような臨床経験は法施行前に経験したものに限られることになってしまいます。
そのため、提供しようとする再生医療等に関する臨床経験を有していない場合は、別の方法で上記の基準を満たしていることを示す必要があります。
具体的には、学会や勉強会が実施している研修会等への参加経験や、再生医療等提供計画を提出済みの医療機関で研修を受けさせてもらうことで基準を満たしていると判断されたケースもあります。
如何にして、基準を満たしていることを示せるかが審査に通るために重要なポイントの一つとなります。
②提供しようとする再生医療等が安全性・妥当性を有しているかについての科学的根拠(エビデンス)
再生医療等提供計画には、「国内外での同種又は類似の再生医療等の実施例」、「使用する細胞に関する研究結果」を添付し、これらの情報を元に提供しようとする再生医療等が安全性及び妥当性を有していることを示す必要があります。
科学的根拠として最も確実なのは国内外で同種の再生医療等を実施した結果についての学術文献、学会発表等です。
私の経験上、このような文献、学会発表を数本添付することができればかなり高い確率で審査を通過することができます。
そのため、まずは提供しようとする再生医療等の実施結果に関する学術文献、学会発表を探すことが重要になります。
しかしながら、このような文献などが無くても絶対に通らないというわけではありません。
文献などとして公表されていなくても、(再生医療等安全性確保法の施行前に)独自に再生医療等を提供した結果などをまとめたものを添付することで審査に通った事例もあります。
当事務所では、多数の再生医療等提供計画を作成し、審査に通してきた実績、経験から、ご自分で作成しても審査に通すことができなかった場合でも、審査に通すためのお手伝いをさせていただくことが可能です。
まずは、再生医療等専門の行政書士にお気軽にご相談ください。