日本経済新聞の記事によると、厚生労働省は年明けにも再生医療等を提供している医療機関に対する立入調査の実施を行う方針を明らかにしています。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG18H8U_Y6A111C1CR8000/
再生医療等安全性確保法により義務付けられている「再生医療等提供計画の提出」は、再生医療等を提供する医療機関に対して事前に手続きを義務付けるという事前の規制としてだけではなく、再生医療等を提供している医療機関を把握し、事後の監視・監督を行うことができるようにするということも目的となっています。
再生医療等安全性確保法の施行前は、厚生労働省は再生医療等を実施している医療機関の実態を全く把握できていませんでした。しかしながら、再生医療等安全性確保法の施行により再生医療等提供計画の提出や定期報告、疾病発生時の報告などが義務付けられたことにより、厚生労働省はどこの医療機関でどのような再生医療等がどれくらいのスケールで実施されているかを把握することが可能になったのです。
そのような中で、先日の東京都の民間クリニックに対する再生医療等安全性確保法違反による緊急命令の発出の件もあり、厚生労働省による再生医療等提供医療機関への監視の目は強まってきています。
このような背景のもと、年明け頃から再生医療等の実施件数の多い医療機関を対象として立入調査の実施を行うことを計画していることが明らかとなりました。
はっきり言って再生医療等安全性確保法を完全に理解して再生医療等の提供を行っている医療機関は少なく、実際に厚生労働省による立入調査が行われると何らかの法令違反が発覚する医療機関が続出する可能性が高いのではないかと考えています。
緊急命令(治療の中止命令)にまで至ることはあまりないのではないかと思いますが、軽微な違反が発覚し、行政指導や改善命令を受ける医療機関は少なくないと思われます。
もちろん、立入調査が行われなければ法令を遵守しないでもいいということではありませんが、再生医療等を提供している医療機関は、立入調査への対応として再生医療等安全性確保法により定められた遵守事項への対応状況について見直すことが重要になるでしょう。
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